第3章 涙の意味とは

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「あれ、早いね真緒ちゃん」 先輩は笑顔で私に手を振りながら歩いてくる。 「先輩こそ、まだ待ち合わせ時間には早いですよ?」 「あはは。お互い様だね」 いつものように笑顔を見せてくれ、そして片手を私の方に差し出してくる。 私はその仕草にドキドキしながら、先輩の手をぎゅっと握りしめた。 手袋越しにも感じ取れる先輩の温かさ――。 「さて、行こうか」 しっかりと繋がれた手をぐいっと引っ張り、先輩は私をリードしてくれる。 少し前を歩き、だからと言って早いペースではなく私に歩幅を合わせてくれて……。 歩きにくい雪道をしっかりエスコートしてくれる。 そのことが嬉しくて思わず笑顔になった。
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