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保健室には行かないで、玄関の方へと走っていく。
その時、グイッと誰かに引っ張られて、私は止まった。
「河井さん……?」
「…………」
斎藤くん……だ。
見てはいないけど斎藤くんの声だから絶対に斎藤くん。
見れない……だって泣きそうだから。
「河井さん。どこに行くの? 保健室はこっちじゃないよね」
「ま、間違えちゃって……」
「……嘘、でしょ。声震えてるよ。……ねえ、河井さんさぁ……もしかして」
私はそれ以上言われるのが怖くなって、斎藤くんの手を振り払って耳を塞いだ。
「……河井さん」
「やだ……言わないで……言わないで……!」
「…………」
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