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「にしても、そっか……。もし綾翔があの女の子と付き合ったらどうすんの?」
「それはそれで……諦めがつくというか……寂しいことには寂しいんだけどね……」
斎藤くんの後ろを見ると、廊下の向こうから綾翔が歩いて来ていた。
綾翔は私と斎藤くんに気づいたようだけれど、そんなの気にしないように教室の中に入っていってしまう。
「とりあえず河井さん。もうすぐでホームルーム始まっちゃうからね。顔洗ってきたら?」
「あ……うん。斎藤くんありがとう」
「いえいえ」
私は少しだけ目にたまった涙を袖の裾で拭って、斎藤くんに笑ってみせた。
そして顔を洗いにトイレに行こうと足を踏み出した瞬間、斎藤くんに腕をつかまれた。
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