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「え、な、なに?」
「…………河井さん、さあ」
「ん?」
今度は斎藤くんが気まずそうに私から視線をそらして、何か言いたそうにしている。
しかし、何も言わずに私の腕を離した。
「いや、いいよ。顔を洗っといで」
「う、うん?」
斎藤くんに手を振って、私は顔を洗いに向かった。
「……両想いなのに、なんだか切ないねぇ」
それから――赤くなっていた目をどうにか元に戻してから教室に戻ると、斎藤くんと綾翔は楽しそうに話をしていた。
「あ、おかえり河井さん」
「おー」
「たっ……ただいま」
こっちに顔を向けた綾翔に一瞬顔が熱くなるのを感じる。
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