第3章 涙の意味とは

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「あ。綾翔待って。一緒に帰ろう」 「は? ああ」 「じゃ、ね。河井さん」 斎藤くんは私に手をヒラヒラと振り、綾翔の腕をつかんでそのまま廊下の向こうへと歩いていく。 その光景をチラっと先輩が見て、そして笑顔で私のところに歩いてくる。 「お待たせ。真緒ちゃん」 「あ、はい!」 先輩の笑顔に、本当のことに気づいてしまった心がチクリと痛むのを感じる。 「それじゃあ……帰ろっか」 「あ、はい……」 先輩に差し出された手を、キュっと握りしめて歩き出す。 今まで手を繋ぐのが少しだけ恥ずかしくて……でも、嬉しくて仕方なかった。 今はそんな気持ちよりも、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
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