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学校を出ると、すごく冷たい風に乗って、小さな雪がヒラヒラと舞っていた。
「わ……雪が降ってきましたね」
「うん。早く帰ろっか」
「はい」
雪のせいか、とても寒く、空は薄暗く一面灰色に曇っている。
灰色の空から降る真っ白な雪は、あたりに降り積もり、上を歩くと綺麗に足跡がつく。
いつもの道を歩いていると、まだ大学にいるはずのお兄ちゃんが道の向こうから歩いてくる。
「……げっ」
「……? どうしたの真緒ちゃん」
「あーあはは! 先輩、今日はあっちから帰りませんかっ?」
「でも、遠回りになっちゃうよ? 寒くないの?」
そんなことを言っているうちに、お兄ちゃんは目の前まで来ていて、私たちの前でピタッと止まる。
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