第3章 涙の意味とは

89/93

1449人が本棚に入れています
本棚に追加
/845ページ
綾翔も先輩も、家まで送ってくれていたからなぁ……。 ……綾翔……か。 そういえば、今日はあまり話さなかったし、プレゼントも貰えなかったんだ。 私は髪についた斎藤くんから貰ったリボンを見てみる。 「斎藤くんも先輩も、ちゃんとプレゼントくれたのになぁ」 でも仕方ないよね……綾翔と一緒にいられなくなったのって、私のせいなんだから……。 今になって本当の気持ちに気付くなんてバカみたい。 「本当……バカ、みたい」 一人になったからか、なんだかすごく寂しくなってきた。 さっきは堪える事が出来た涙が、今度は溢れて流れてくる。 「やだ……」 私は溢れて流れる涙をコートの袖の裾で拭いながら静かな真っ白の道を一人で歩いた。
/845ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1449人が本棚に入れています
本棚に追加