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「なんか、あったのか」
「い、いや……」
まさか、今ここで本当のことなんか言えるわけない。
それに……もし言えたとしても、フラれて今以上に泣いてしまうことが目に見えている。
「ちょ、ちょっと……さっき転んじゃって」
「ふーん……」
「そ、それより中入ろうよ」
苦しい言い訳に、疑うような視線を送る綾翔。
私は掴まれた腕を綾翔に離してもらうように力を入れるけど、綾翔は離してくれない。
「な、なに……なによ」
「別に中に入りたいわけじゃねーんだ。ちょっと、お前に用事があって」
「私に?」
そう言うと綾翔は、肩に掛けていたバッグを手前に持ってきて、中を漁り始める。
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