第1章 最後の思い出

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私は振りほどかれないようにさらに力を入れて抵抗をする。 「くっ、苦しい! 苦しいから!」 「綾翔、真緒、お金ないです」 「わかった、わかった俺が金出すから離して!」 「二言は?」 「ありません!」 私は「よっしゃ!」とガッツポーズをすると、佳奈と斎藤くんは「おー」とパチパチ拍手をしてくれた。 綾翔に抱きついていた手を離すと、綾翔は一回だけむせたように咳き込むと、私を睨みつけた。 「なんで睨むのよ」 「自分のない胸に手をあてて聞いてみろ」 「あるわよ! 揉んでみる?」 私が胸をつき出すようにして綾翔に近づける。 「河井さん。俺が揉んであげようか? 大きくなるよ」 「それ、一時的だって聞いた。効果ないんだって」 「三浦さん物知りだね」 私の行き場のない胸を他所に斎藤くんたちは何故か話を盛り上げていた。
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