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この前も今回も言えなかった。
だからきっと次もそのまた次も、次も……きっと、言えない。
伝わらないんだよ……。
「じゃ、もう寒いからバイバイ綾翔」
「…………」
「……綾翔?」
綾翔は黙ったまま私に近づいてきて、家の段差で綾翔の方が小さくなり、私を見上げる体勢になる。
「真緒」
「な、なに……?」
「ずっと前、お前に言おうとしてやめたの覚えてるか」
「あ、うん。7月くらいの時だよね」
綾翔は静かにコクリと頷く。
「あの時、なんて言いたかったの?」
「教えてほしいか?」
「そりゃあ……教えてほしい、けど……」
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