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「いたた……つ、冷たっ」
転んだ拍子に袖や首もとから雪が服の中に入ってきた。
私は体だけを起こす。
顔にも雪がつき、それを拭うと冷えた肌には少しだけヒリヒリするような感覚がある。
「はぁ……最悪……」
そうつぶやき、雪の上に座ったままため息をついていると道の向こうから雪を踏む音が聞こえた。
「…………!」
顔を上げると、目の前にはマフラーで口を隠している綾翔が立っていた。
「あ、綾翔……?」
「何してんの?」
「な、何って、みたらわかりませんか……」
その問いに綾翔は答えず、無言で私に手を差し伸べてくる。
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