第1章 最後の思い出

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斎藤くんの顔は私の首の方に近付けてきた。口をあけながら。 私は素早く斎藤くんの腕の下の隙間から抜け出して、近くで携帯をいじっていた綾翔の後ろに隠れた。 「綾翔! 斎藤くんが真緒をけがそうとするです!」 私は綾翔の量腕の服をギュッと掴んだ。 綾翔は携帯を片手に持ちながら顔だけ後ろを振り向いて嫌そうな顔をしてきた。 「本気なわけないじゃん? 河井さんって可愛いよね」 「からかうのをやめていただきたいです」 斎藤くんの笑顔は、何だか信用できない笑顔だ。 私は佳奈の掃除が終わるまで綾翔の後ろに隠れていた。
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