愛恵物語

第４章 幸せはここに

ワイワイと――

神社の境内は自然ヶ丘町民で溢れている。

今日は大晦日。

１年の終わりを、そして新しい年に向けて集うこの行事。

他の町とほぼ変わらず、甘酒を売っていたりおみくじを引いたり、お祭りの時と同様巫女様が神楽を舞っていた。

私はというと、もちろん年末も先輩と過ごすという事で一緒に神社へ来ていた。

「今年も人でいっぱいですね」

「そうだね。真緒ちゃん、離れないように……ね」

先輩はそっと手を差し伸べてくれる。

私はその手を取り、神社の境内を二人でゆっくり進んだ。