第1章 最後の思い出

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――それから一週間。 今日は終業式、明日から夏休みです。 「綾翔と河井さん、夏休みの予定は決まった?」 前に座っている斎藤くんが振り返って聞いてきた。 綾翔はいつものように机の上に伏している。 「私は特に旅行とかないし。綾翔と海行くくらいかなー」 「俺も」 「ふうん。二人で海ね……つまり河井さんの可愛い水着姿を見て興奮したいわけか」 その言葉を聞いた綾翔がガタッと音を立てて姿勢を起こした。 「え、やだぁ。綾翔イヤらしい」 「ばっ……! ちがっ……」 「真緒の体が目当てだったんですね」 「だっ誰がお前の幼児体型を目当てにするですか!」 「あはは、綾翔言葉おかしい」 綾翔は顔を真っ赤にしながらそっぽを向いてしまった。 斎藤くんと私は二人で笑いあうと、綾翔は向こうを向きながら「笑うな!」と言った。 終業式はもう少しで始まる。 今は待機時間。 明日から夏休み……夏休みはきっと楽しいだろう。 初めての綾翔とのお出かけ。 そして――。 新しい関係が幕を開けることになる。
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