第5章 想いの果てに

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「で、でも、お母さんいい人そうだったし、斎藤くんも普通に……」 「いや、いい人だよ。いい人で母親も甘い。まぁ未亜も響もいるから建前では。だろ」 建前……。 普通に話していたのは建前で、お父さんとお母さんが嫌いだなんて。 そりゃあ、年頃とか煩いとかで嫌う人もいるけど。 あんな風に車を避けるなんて尋常じゃない嫌がり方――というか、怯え方。 掴まれたあと斎藤くんに近付いちゃったけど、心臓とか呼吸とか……すごい乱れてた。 「斎藤くん……どうしたのかな……」 「さぁ……簡単に話すと、俺はどうしてかはちゃんと聞いてないけど両親を嫌ってる」
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