第1章 最後の思い出

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「じゃあな」 綾翔はそれだけを言って歩いて行ってしまった。 ――結構みんなからは明るくてイタズラ好きで、やんちゃなヤツって思われている綾翔。 でも私といるときは、どちらかというとクールなんだよね。 それは良いことなのだろうか。 私といると楽しくないから笑顔じゃない? それとも、私といるときは素を見せてくれているのかな。 もう少し……笑ってくれてもいいのに。 お話ししてくれてもいいのに。 いつも朝も帰りも、ただ一言だけだなんて寂しいよ。 私は綾翔が見えなくなるまでその場に立ち尽くした。 そして思った。 海の思い出は楽しいものにしよう。綾翔に沢山笑ってもらおう。 もし素が笑わないやつだったとしても、私は素で笑わせてやるんだから。 ……と。
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