最終章 別れ結びの日

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こんなの、もう気持ちを伝えているのと同じかもしれない。 いいよ……もう、伝わってもいい……ううん、違うよね。 伝わってほしいんだよね―― 「真緒……」 「…………」 綾翔は気まずそうに私を見てから、ふいっと前を向く。 立ち止まったままの沈黙が少しだけ続いて―― 「あー……もうダメだわ……」 「…………え?」 「どうなってもお前のせいだから」 それだけを言って、綾翔は私の手を握り返してくれる。 でも……さっきのはどういう意味? 「綾翔……あの……っ」 「…………」 家につくまで綾翔が口を開く事はなかった。
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