第1章 最後の思い出

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店の中を一回見回し、夏服コーナーを目指して歩いていった。 今年はワンピースに挑戦してみようと思っていて、可愛いワンピースを手に取ってみた。 そしてワンピースを合わせようと鏡のある場所に移動しようとしたとき、誰かにぶつかってしまった。 「あっ、すみません! ――って、あ……」 ぶつかってしまった人を見ると、この前屋上で見た先輩だった。 こ、こんな場所で会えるなんて! 「こちらこそ……」 先輩は静かに笑った。 私ははっとなってお辞儀をした。 「君……この前屋上にいた子だよね」 「覚えていてくれたんですか!」 「うん」 私は嬉しくて思わず笑顔になった。 先輩は私の持っていたワンピースに視線を移した。 「可愛い服を選ぶんだね」 「えっ……あ」 先輩はまた笑顔になった。 優しい笑顔に思わずドキッとする。
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