第1章 最後の思い出

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 毎年ありとあらゆる手を使ってみたけどだめだった。  例えば……引っ張り出そうとしたり、お金で釣ったり、泣き真似してみたり。  でもダメだった。  綾翔には通用しないらしい。 「とにかく今年こそは絶対行くの遊ぶのよ」 「海はお前泳げないし。山はお前足が痛いって言って歩かなくなるから嫌だ」 「そ、そんなことないもん!」  私はうーっと綾翔を睨むけど、綾翔は完璧に知らんぷりを決め込んでいる。  ていうか何で行ったことないのにわかるのだろう……。  今年こそは綾翔と一緒に夏の定番って場所に行きたい。  小さい頃から一緒にいるのに……綾翔とどこかに遊びに行った思い出がないなんて寂しい。
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