第1章 最後の思い出

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「絶対可愛い子見たら絶対目で追っちゃうって」 「そういうもんか? 別に興味ないんだけど」 綾翔はバスの窓の縁に肘をつけて窓の外を見ていた。 でも、確かに綾翔って斎藤くんと違って女の子に興味なさそうなところはあるよね。 「綾翔は好きな人もいないの?」 「……」 「ねえ、綾翔っ」 「お、お前には……い、言わないって!」 「やっぱりいるんだ! ねえねえ、同い年? どんな子?」 一瞬、窓にうつった綾翔の顔が赤くなっていた。 「……お、同い年」 「おお! その子は可愛い!?」 「……」 綾翔は少しの間黙った。 そして今まで窓の外を見ていた顔を私に向けた。 「……か、可愛い」 「同い年で可愛い子か……今度探してみよっ」 「多分見つかんねーよ」 綾翔は再び窓の方に顔を向けてしまった。
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