第1章 最後の思い出

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「見つかったらどうする? 何かおごってくれる?」 「どーせ見つかんねーし。いいよ見つけたらおごってやる」 窓にうつる綾翔の顔は、すごく自信に溢れた表情をしていた。 そして、バスは森の中に入っていき、景色は緑ばかりの楽しくないものになってしまった。 それでも綾翔は外を眺め続けていた。 私は暇になり、綾翔の肩にこつんと頭を乗せた。 すると綾翔の体がびくんと跳ねた。 「な、な、な……!」 「眠たくなってきちゃった」 「そんなんどうでもいい! 何してんだよ!」 「いいじゃん。男なんだから肩くらい貸しなさいよ」 私はそのまま綾翔の肩に頭を乗せたまま目を閉じた。
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