第1章 最後の思い出

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「とにかく今年は海か山に一緒に行くの。命令です拒否権はありません」 「拒否します」 「拒否権はないって言ったばかりでしょー!? 何よ、そんなに私と遊びに行くのが嫌なの?」  私は最終手段を使った。  昔からこの「私と~嫌なの」攻撃はクリティカル率が100%という確率なのだ。  綾翔の顔に動揺の色が伺える。  あと一押し……私は恥ずかしさを抑えてこう言った。 「嫌なの……そんなに綾翔、私のこと嫌になっちゃった?」 「う……お前。脅してんのか」 「違うもん。綾翔が冷たいから私だって不安になっちゃうんだよ」 「お前は俺の彼女か!」  綾翔のツッコミに私は笑顔で頷いてみせる。  複雑そうな顔で「違ぇだろ!」と頭をノートで叩かれた。
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