第1章 最後の思い出

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「色気より食い気とはお前にぴったりな言葉だな」 「そんな真緒が大好きなくせにー」 「だまれ。いいから座れ。座って動くな」 綾翔に無理矢理座らされた私は、仕方なく席で大人しくした。 「綾翔って泳げる?」 「当たり前だろ。お前と一緒にすんなし」 綾翔はそう言って意地悪に笑った。 昔は「水怖いぃ」とか言って泣いてたくせに! 何よ泳げるからって生意気になっちゃって! 「私だって泳げるし」 「じゃあ浮き輪禁止な」 「すみませんでした!」 綾翔と二人で笑いあっているうちに、バスが次の停車駅の名前をコールした。 綾翔は停車ボタンを押した。 バスは海の近くで止まり、バスに乗っていた何人かがそこで下車した。
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