第1章 最後の思い出

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仕度を終えた私は、海の家の前へと向かおうとして更衣室を出た瞬間、誰かとぶつかった。 「きゃっ」 「うわっ」 見上げると、日焼けをした金髪のいかにもワルそうな顔をした二人組が更衣室を覗いていた。 「あれ、さっき髪結んでた子じゃん」 「なんだ可愛い顔してんな」 二人は私の腕をぐっと掴んでくる。 振りほどこうとしたが、力強く、振りほどけなかった。 「は、はなしてっ!」 「あは、声も可愛いし」 「まじやべえ。なあ、一人? 女の子と来てんの?」 私は腕をつかまれたまま、壁に押し寄せられてしまった。 怖くて涙が出そうになる。
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