第1章 最後の思い出

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二人はにやにやと不気味に笑って私を見ていた。 「女の子と来てんならさー、俺らと泳ごうよ」 「つか、君何歳? まじ可愛いよね」 心のこもっていないにやけた声に背筋がぞくってなる。 泣きそうになるのを必死に堪えて、私は二人を睨み付けた。 精一杯に。 「なに? そんな怖い顔して。可愛いんだけど」 「い、いい加減にしてよ!」 私はつかまれていないほうの腕で二人組のうちの一人の頬をおもいきり叩いた。 「いって……なに、お前」 「あははっ、殴られてやんの! つか、なんか生意気」 「少し可愛いからって調子にのってんのか? ああ?」 私が叩いた方の男は、怖い顔で私を見た。
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