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男は私のあごを掴んだ。
「このまま襲ってもいいんだぜ。なあ？」
「このまま誰もいない場所にいくか」
「……ひっ」
本気だ。
私はそう思った。
今まで必死に堪えてきた涙が溢れてくる。
「行こうぜ」
「い、いや……離して……」
声が震えて、掠れて出なくなってきた。
「あ……あや……と」
「ん？ なに連れの名前？ あやちゃん？」
「二人いたらめんどうだし、まずはこいつからだろ」
そう言って、私の腕を引っ張って海とは反対の誰もいないような場所へと連れて行こうとした。
「は……はなして……！」
「あーもう。うるせえ。いいから大人しく歩けよ」
「いや……っ」
私は震える声を力いっぱい振り絞った。
「助けて！ 綾翔！」
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