第1章 最後の思い出

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海の方に向かって歩いている途中、私は綾翔にお礼を言おうとした時だった。 「あ痛っ」 綾翔にでこぴんをされた。 「お前……来ないと思ったら男に絡まれてるし泣きそうだし……まじないよなお前」 「ちょ、それが襲われていた女の子に対する言葉!?」 私はおでこをおさえながら、綾翔を睨んで言うと、綾翔に頭をぽんぽんと撫でられた。 「わっ」 「行くの遅れてごめん」 「え……」 私はびっくりして立ち止まると、綾翔は一瞬私をちらっと見て気恥ずかしそうに歩いて行ってしまった。 「え、ちょ綾翔!」 「……」 「なによーもうっ。……ありがとう綾翔」 私は小走りで綾翔の隣に駆け寄って、綾翔の手をぎゅっと握った。 すると綾翔も握り返してくれた。
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