第1章 最後の思い出

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海の近くに寄って、波に足をつけると水は温かった。 「綾翔綾翔! 海です水です泳ぎましょう!」 「ああ」 綾翔はそっけなく返事をして私のところに歩いてきた。 私は綾翔の腕を引っ張って海の中へと進んでいく。 もう片手には浮き輪を装備。 「ひゃーっ」 「……」 反応のない綾翔を見ると、私とは反対方向を見ていた。 「ちょっと」 「……」 「ねえ、綾翔!」 何回呼んでも返事をしてくれないので、綾翔の腕を離しておもいきり押してみた。 「ていっ」 「え、うわ!?」 その衝撃で、綾翔は海の中へと転んでしまった。 まだ浅かったため、綾翔の顔は海から出ていて、その状態のまま私を睨んできた。 「てめぇ……」 「あははっ! 綾翔転んだっ! 真緒を無視するからそうなるんだよ」
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