第1章 最後の思い出

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「綾ちゃんかーんわいいっ」 私はバシッといい音をさせながら綾翔の肩を叩いた。 「お前……もうやだっ」 綾翔は私から浮き輪を奪って、それを無理矢理私にはめた。 そして浮き輪ごと私を海の深い方へ連れて行く。 「ちょ、綾翔さん足がつかないんですけど」 「お前なんか波に流されて一生帰ってくんな。のどが渇いたら海の水を飲んでくたばれ」 そう言って浮き輪を離し、綾翔はにやりと笑った。 「ちょっと! あんた私を殺す気なわけ!?」 「足動かしたら泳げんだろ。俺はもう知らん。……さーて海の家で飯でも食うかな」 そう言って綾翔は陸の方へと泳いで行こうとする。 私は必死に足を動かして綾翔を追いかけた。 「ま、真緒も連れてってください! お昼おごりますから!」 「知るか。真緒嫌い」 「えーっ!」 綾翔は子供のように拗ねてしまい、本気で私を置いていくつもりのようだった。
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