第1章 最後の思い出

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「んーっ、んまっ」 「そうだな」 「……」 本当、綾翔は感動が薄いと言うか……もっと「うまいな!」とか言ってくれればいいのに。 でもまあ、綾翔がそんなこと言ってきたら気持ち悪いんだけどね。 「あ、そうた綾翔、はい!」 私はホットドッグを綾翔の口の前に差し出す。 「は?」 「はい、あーん」 綾翔は一瞬固まって、そしてそっぽを向いてしまった。 「照れないでよー」 「い、いらん!」 「やだ、あーんしてよー」 「いらんって! バカかお前はバーカバーカ!」 「ちょ、あんた……」 綾翔はそっぽを向いたまま乱暴に言うと、今度は体ごとそっぽを向いた。 私は綾翔の背中を人差し指でつーっとなぞった。
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