尊の場合

17/24
177人が本棚に入れています
本棚に追加
/331ページ
はーい! とみんなが返事をする。 「帰ったら、教科書に名前を書いて下さいね? 明日は学校探検をしますから、教科書は要りません。 筆箱と連絡帳だけを、持って来て下さい」 はーい! と、またみんなで返事す……1人、してない。 チラリと見えた和泉ちゃん、ナニやらにこにこ笑ってる。 その視線は、和泉ちゃんの左にある窓の外。 何を見ているの? 和泉ちゃんの視線を追って―― 「!?」 びっくらこいた! 窓の向こうは、ちょっとしたベランダが有るのだけど、その手摺に、和泉ちゃんと見詰め合う様にして、でっかいカラスが止まってたんだ! かなりの大物! この辺りで一番の大きさじゃないかな? にこにこ笑う和泉ちゃんを、真っ黒なカラスはジーと見詰めてる。 ただ、ジーと。 ふっと、和泉ちゃんの口が動いた。 「3丁目が穴場」 ??? なに、それ? が、カラスは、 「カー!」 と一声鳴くと、バッサバッサと飛び去って行った。 何が、どうなったの? 呆ける僕に気付いた和泉ちゃんが、ニコッと可愛いらしく笑い掛けてきた! か、可愛い~! 僕のはーとは、メロメロよー!
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!