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下村は、真っ直ぐ和也を見返す。
「確かに久喜、神楽坂の両名はかなりの美人で、物凄く騒がれ、人気者です。 揉め事も絶えないのは、わたしも理解しておりますが、そこまでする必要が有るのかと、疑問です」
「では下村さん、2人のファンが過激な行動に出た場合、どうします?」
問い返したのは、スッとスマートに立ち上がった美原だった。
「それは……でも、出た場合、ですよね? 何も起こらない事だってある訳ですし、まだ何も起きていない事を心配しても、仕方ないのでは?」
眉をひそめる下村に、
「残念ながら、不穏な動きを掴んでいます」
美原は事務的な口調で答えた。
「単独では2人を思い通りに出来ないからと、数に物言わせて動こうと画策している愚か者の情報を得ています」
ざわりと、室内が騒がしくなる。
美原の説明に、さすがに巽も険しい顔をした。
「それは、確かですか?」
確認する下村の顔色も、些か青くなっている。
「確かな筋からの情報ですので、かなりの高確率で実行に移される筈です」
再びざわめく室内で、巽は溜め息を漏らして立ち上がる。
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