巽パパの場合

66/72
前へ
/331ページ
次へ
「手順としては、明日の新入生歓迎会前に『マスコット』の概要を説明し、2人を披露する。 歓迎会終了後に、一応形ばかりの賛否をとる。 出来れば賛成多数が望ましいが、少なくとも決行する。 その直後から、発動だ」 何か質問は有るかとばかりに、美原は皆を一望する。 インテリ鬼畜イケメンに睨まれて、反論する輩はいない。 巽も面倒臭いので、黙っていた。 「反論が無いようなので、役員の総意として発表します。 総意で有る以上、1人でも多く賛同して貰えるように、しっかり根回しする様に」 強制的か! 巽は苦い顔をしたが、やはり黙っていた。 「じゃ、宜しく」 軽く和也が言い放ち、ざわめきが戻った。 「では、本題の打ち合わせに入ります」 司会役の生徒会書記が、思い出した様に口を開いた。 立ち上がっていた者も各々席に着き、明日の新入生歓迎会の打ち合わせに意識を向けた。 巽は、上の空だ。 『マスコット』なんぞ考えてまで雪ちゃんを護りたい、そんな和也の行動に呆れつつも感心していた。 それだけ和也は、雪ちゃんが好きなのだ。 だったら、さっさと告白しろ! 思うが、言えない巽だった。
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加