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「あの時からだったよな……」
懐かしく、巽は思い出す。
新入生歓迎会の鬼ごっこは、混乱も事故も無く、無事に終了した。
『マスコット』も美原の睨みが効いたのか、役員の働きにより、すんなりと賛同を得られた。
そして、神楽坂 綾乃が変わったのが、その時からだ。
「和泉の母ちゃん、可愛くなっちまったもんな」
但し、和也の前でだけだが。
大切な親友の雪ちゃんと自分を魔法使いの様に助けてくれた和也を、和泉の母たる綾乃はキラキラした目で見詰め出した。
とても愛らしい仕草を、和也の前でする様になった。
和也も、綾乃の気持ちが自分に向いた事はわかっていたが、雪ちゃんへの気持ちは変えられないらしく、巽の様に気付かないフリを通していた。
まあ巽としても、大好きな和也が綾乃と付き合うなぞ認められないので、その方が好都合だったか。
だが、綾乃は、そんな状況に甘んじているタイプではなかった。
綾乃とは、行動的な娘だ。
うじうじ悩むタイプでも無い。
思い付いたら即実行、白黒はっきりさせたい、そんなタイプだと、再開して巽は知った。
そして綾乃は、動いた。
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