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ごちゃごちゃぐちゃぐちゃ、和泉は混ざっている。
巽が大好きで憧れだった和也と、大嫌いで苦手だった綾乃の、良い所も悪い所も全部が和泉の中に入っている気がした。
「和泉は、本当に2人の子供なんだな」
今更ながら、実感する。
和美は綾乃が強すぎて、和也を感じさせない。
しかもこの兄妹は、バラバラに幼児期を過ごしたらしい。
和泉は伊織と、兄弟の様に育てられたと聞いている。
ああ、そうか。
「伊織も混じってんだな」
そう言えば、雪ちゃんぽい点も、和泉には見られた。
「和泉、虹みたいな性格してんだなぁ」
皆が混ざってら、と巽は笑う。
自分の性格も混ざっていると、嬉しいんだが。
「なあ和也」
窓の外の紫陽花に目を向け、巽は呟く。
「お前の大切な家族、色んな人達に支えられてるぞ」
だから、
「安心しろ」
呟いて和泉の携帯を閉じる。
閉じて、オヤッと思う。
高校時代の和也と今の和泉を思い浮かべ、
「やっぱり似てねーぞ!?」
叫びながらキッチンに飛び込み、炊飯器の蓋をあける。
モワンと湯気が立つ。
食欲そそる、良い香りがする。
今夜はパエリアだ。
🐤🐤🐤終
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