綾乃の場合

2/54
前へ
/331ページ
次へ
初めて出会ったのは、高校の入学式。 『ようこそ西木戸高校へ』、と言う始まりで挨拶をした生徒会長。 それが和也だったんだよ? ああ、あれが生徒会長ね? 位にしか、感じなかった。 だってね? なーんの特徴も無い、何処にでも居る、普通の人だったから。 両親みたいに、『美形以外は、人間じゃない』なんて考えてはいないけど、大して興味惹く相手ではなかった。 だから、和也の事は、頭から直ぐ消えた。 次に会ったのは、最悪で最低な奴! 大好きな雪ちゃんが、なんか知らないけど、幼稚園の頃からずっと憧れて、ずっと好きだったらしいデカブツだった。 175近いわたしより、20センチ近くは背が高い。 150も無い雪ちゃんと並んでいると、もう大人と子供、巨人と小人位の差がある。 名前は『黒岩 巽』。 3年。 風紀委員長らしい。 顔は、ちょっと強面系だけど、かなりのイケメン。 雪ちゃん、こんなのがタイプだなんて、知らなかった。 懐かしそうに雪ちゃんを見下ろす黒岩が――嫌いだ! だから、睨んでやった。 思いっきり、嫌い嫌い光線を浴びせてやった。 なのにアイツは、平然としてた。
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!

177人が本棚に入れています
本棚に追加