綾乃の場合

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仮じゃなくて、正真正銘の女だよ? ちっさい風紀副委員長、意外と失礼だな? 「このまま、と言う訳にはいきませんね?」 顎に手を当て、ちっさい風紀副委員長は、考え込みながら呟いた。 何が? 「そうだな」 黒岩も、低く呟く。 だから、何が? 「大丈夫です!」 元気に雪ちゃんが、声を上げた。 だから、何の事? 「わたしも綾ちゃんも強いですから、負けません!」 きっぱりと雪ちゃんがそう言ったから、やっとわたしにも通じた。 危ないって事、だよね? わたしが耳にしたような危ない連中が出て来たら、さすがにわたしと雪ちゃんだけだと危ないって事だよね? 余計なお世話だ! 「雪ちゃんはわたしがちゃんと守るから、デカブツは余計な事するな!」 言った直後、ガツンと雪ちゃんに拳骨喰らった。 「雪ちゃん、痛い……」 殴られた頭を擦りながら抗議すれば、メッ!、と雪ちゃんに怒られた。 「綾ちゃん、駄目でしょ!? 巽先輩に失礼よ!?」 だってだって雪ちゃん、雪ちゃんを守るってわたし誓ったよ!? なのに黒岩なんかに、口出し手出しされたくないよ!? と思うけど言えない。 怒られるから。
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