綾乃の場合

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「まあ何にしろ、風紀委員側も気を付けるが、2人もあまり無茶するな」 いいな、と黒岩が念を押した時、また感じた。 チクリ、と。 刺す位痛い視線を、また感じた。 誰が……? 雪ちゃんと黒岩とちっさい副委員長が、何だか揉めてるが、無視して辺りを見渡してみる。 視線の主を、探して。 校庭には、其れらしい姿はない。 さっき殴ってやった連中が、何処かで隠れて、恨みがましい視線を寄越してるのかとか思ったけど、感じる視線はそんなに危なくないみたい。 ん―と、なんて言うのかな? 包み込む様な、案じる様な、どちらかと言えば、友好的な視線の様な気がする。 何処かの校舎から、見てるのかな? そう思って、総ての校舎を見る。 あっ! あそこだ! 一番奥の、事務棟校舎。 その3階の左端、そこの窓に人影があった。 自慢じゃないけど、わたし、異常に目が良いのだ! その人物の顔まで、しっかり見える。 でも、誰だか知らない。 見た事が有る気がするんだけど…… 「神楽坂さん、どうしました?」 ちっさい副委員長が、あらぬ方向を見詰めているわたしに気付いて、そう訊いてきた。
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