綾乃の場合

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「ひか、趣味ワリィ」 副委員長に、黒岩が呆れた様に言ったその意味が、雪ちゃんよりは鈍く無いわたしには通じた。 だから、副委員長を真っ直ぐ見返し、 「お薦めしないぞー!」 と言ってやったら、笑われた。 「貴女は、本当に面白い方ですね?」 そう言った副委員長を、雪ちゃんが、 「あら、あらあら」 なんて言いつつ見詰めた。 「まあ! 先輩は、綾ちゃんがタイプですの?」 雪ちゃん、そこは内緒でしょ? でも雪ちゃんは、気遣わない。 「綾ちゃん、デカイですけど意外と心臓は蚤さんで、恋愛は奥手ですの。 告白して下さる方の中には、今日の様な人達とは違う、真面目な方もいらっしゃるのですけど、綾ちゃんったら照れて皆さん殴り倒しちゃうんですよ」 雪ちゃんは、激ニブ。 結局、下心見え見えの連中ばかりだよ。 でも、このちっさい副委員長は、ちょっと違うみたいだ。 「副委員長、アレは良いのか?」 再び雪ちゃんと話し出した黒岩を指差し、副委員長に訊いたら目を丸くされた。 「何故?」 「なんとなく、わかった。 アレが、好きな――」 しっと口に人差し指を当てられて、黙らされた。
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