プロローグ

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 俺は、大嫌いだ。  なにが、だって? そんなの決まっている、女だ。奴らが近づいて来ただけで身震いがする。寒気がする。下手すりゃ吐き気まで…。  ……あぁ、わかってる。勿論、奴らが悪い訳ではない。俺が勝手に嫌ってるだけ。  中学の頃からそうだった。奴らが悪い訳ではないのに、俺が勝手に拒否反応を起こし、遠ざけた。  そりゃ、皆離れて行くわな。こんな俺を、皆はうざがり、女連中だけでなく、男連中も俺から離れていき、そして直ぐに誰も俺に寄り付かなくなった。  ……矛盾しているが、最初は確かに辛かったし悲しかったりしたし、嫌な思いもした。  だが、人間の慣れってのは偉大なもので、途中から平気になったんだ。  だから……ま、今となっちゃ、気楽でいい。別に慣れてしまえばどうってことはなかった。  どうやら俺の事は、他校にも広まったらしく、あれこれと尾びれが付き、高校に進学してもそれは同じで、俺は学園生活初日から早速完全に孤立したって訳だ。まぁいいさ。気楽でいい。  ……なのに、なのにだ。入学式を終え、1ヶ月程経ったある日。一人の女が転校してきた。しかも同じクラス、更には俺の席の隣に。……最悪だ。  拒否ってんのに…、なんでアイツは、俺にしつこく話し掛けてくる? たまたま隣の席になったから? だから仲良くしたいから? すまん、正直ウザイ。つーか顔を合わすのも嫌だ。  全く…、アイツが転校して来てから、ろくなことがない。どうなるんだ? 俺は……。
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