衝撃の時間

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中央市民病院に着いた。 入り口を入ると、まだ若い背の高い男性が迎えてくれた。 「こちらへ」 男性の後を着いていくと、長い廊下の一番奥の部屋へ案内された。部屋のプレートには安置室と書かれている。 うすら寒い何もない部屋の真ん中に病室にあるようなパイプのベッドがドンと置いてあり、そこに誰かが寝かされていた。 ベッドからはダランと右手が少し見えていた。 その手は、グローブ程の大きさで 小指がグニュっと内側に曲がっている。擦り傷だらけ。流れ乾いた血は砂利と一緒に固まっていた。 悲しいかな。その手を見ただけで、有紀子は柚希だと確信した。
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