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顔に掛けてある布をめくると、頭が2倍くらいにパンパンに腫れ、目は両目ともぐちゃと空き缶を潰したように陥没し、唇はあり得ない程歪ない腫れと形で 不自然な位置に収まっていた。
顔全体が青紫色。耳は当然有るべき位置になく、捻り潰したように左のあたまの横に付いていた。
右耳は?ここに居るのは誰?
心の声とうらはらに、視界は涙で曇っていく。
―― キーン
と耳鳴りが響いた。
「これは…柚希じゃないです。」
思いの他声が響く。
そう答えた則之の手を握り
「間違いありません。柚希、家の息子です。」
有紀子は冷静な声で答えた。
もう涙は消えている。
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