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冷蔵庫のコーヒー牛乳をラッパ飲みしている愛美に
「姉ちゃん、俺も」
「コップくらい取りなよっ!」
そんないつもの光景を尻目に、則之は玄関に急ぐ。
「行ってくる。」
― 行ってらっしゃーい―
「あんた達も急いでね」
有紀子はみんなが出払った後、一人で至福のコーヒーを飲むため、コーヒーメーカーに豆をセットすると、声を荒げた。
ポコポコとメーカーが音を立て始める。
―パタパタ
―― バタン
「ちょ~どけなよっ」
「なんだよ~」
― 行ってきまーす。
―行ってらっしゃーい。
勢いよく玄関のドアが閉まる音がした。
はぁ~これでしばらく休戦。
有紀子は食器で溢れる流しの横にマグカップを置くと、コーヒーを並々と入れた。
リビングのソファーに座り、コーヒーを飲みながら 大きな灯り取りの窓から外をぼんやりと眺めていた。
窓の内側からでも軽やかな風を感じさせるような陽気がリビングに差し込んでくる。
「いい天気ねぇ」
有紀子はつぶやいた。
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