プロローグ、俺と出会いと中華店

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 ―― 時期は夏。学生達は汗を流して部活に取り組み、大人達は人混みに揺られながら帰路を辿っている頃。 街に紅い光を灯していた太陽はその体をやや沈めていた。 後ろには微かに伸びた影が、風にざわめく木々の動きと共に揺れ踊る。 周囲からは遊び疲れた子供達の元気良い別れの言葉。 その中で一人の少年が、とあるこじんまりとした建物の前に佇んでいた。 しわ一つない真っ白なカッターシャツ調の制服を身に付け。 止めるはずの前ボタンを途中まで外し。 やや幼さの残る顔で、頭に昔の飛空挺員が装備するような大きめのゴーグルを付けていた。
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