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「お願いします。命だけは助けてください。私には、妻と子供が」 命乞いなんてモノをされたのは初めてだけれど、何だか妙な気分だ。 わざわざ言う必要もないが、僕はゴから始まる生物を捕まえるつもりだった。 捕まえると言うか、駆除と言うか。 わざわざ言う必要もないが、僕はこんな奇妙な生物を捕まえるつもりなんかなかったんだ。 てかこれ、どんな生物だよ。 「あの、お願いです。どうか、どうか」 ねばねばした床に絡まった黒くて細長いぐるぐるな奴は、相変わらず情けなく命乞い。 一切身動き出来ないらしく、必死なその声だけが虚しく四畳半に響いていた。 「……」 なんだか、可哀想だなぁ。 リで終わる生物くらい不気味な容姿だけど、どうにか助けてあげたいもんだ。 「とりあえず、このねばねばを……」 こうして、謎の黒い奴救出大作戦は狭い狭い僕の部屋でひっそりと開始された。
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