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ところが……だ。
問題は、その時のクソガキが、俺の傍から離れようとしねえってことで。
俺がその場から移動しても、痣だらけの顔でにこにこと笑いながら俺に近付いて来やがる。
残念ながら、今の俺の足じゃ走って撒くようなことも出来ず……。
片目が潰れた強面で睨みつけたり、低めの声で怒鳴り付けたりもしたものの、そいつには一切効果がなく、にこにこと笑いながら擦り寄って来るだけだった。
くっそ。邪魔くせえっ。
何を言っても返事もしえくせに。
もうカチ無視しかねえ!
視界に入れねえようにしてやるっ!
そうして過ごすこと、さらに4時間。
陽の光りは、てっぺんをさらに通り越して西に傾いてきてた。
相変わらず俺の数歩後ろをトボトボとついて来るガキ。
腹が減ってきた俺は道端にある瓦礫の上に腰を下ろし、荷物の中から食料を取り出した。
一口、二口……固いパンと美味くもない干し肉を口にしたところで横に目を向ける。
2mほど離れて地面に座り込んでるガキ。
…………くそっ!
「ほらっ! ……お前も喰えよ」
そいつは、少し驚いたように目を丸くした後、花が綻ぶような笑顔でにっこりと笑った。
ドキンっと胸の奥で何かが動いた。
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