タイムリミット 

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  「お前、名前は?」 別にそんなにこのクソガキに興味があるわけじゃねえんだけど。 名前くれえ聞いてみようかと思ったんだよ。 うん。呼び辛えし。 なのに。 ガキは困ったように微笑むだけで、返事をすることはなかった。 ……もしかして。 そう思った時には、クソガキが立ち上がって、小さな瓦礫の欠片を握り締め、地面にガリガリと文字を書き始めた。 『エリー』 拙い文字で、地面にはそう綴られている。 やっぱり。 「エリー……。お前、声が……」 そう呟いた俺に、エリーはなんとも言えない顔で頷いてみせた。 ……くそったれ! この時代は、この争いしかない世界は、こんなガキから声まで奪うのかよっ!! 行き場のない怒りで胸が張り裂けそうになる。 そんな俺の胸を、エリーのか細い指先が指した。 「は?」 もしかして…… 「俺の、名前……?」 言いたいことが伝わってか、嬉しそうに笑うエリー。 「……レヴィン」 小さく呟けば、エリーの口元が僅かに動く。 『レヴィン』 たぶん、そう言ったはずで。 なんだか気恥ずかしくて、心臓の辺りがくすぐったくて。 「ま、まさかお前が女だとは思ってなかったよ、エリー」 そう言って茶化せば、意外と可愛らしく見える顔が、ぷくりと膨らんで、また俺を笑顔にさせる。  
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