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「………子どもばっかりだ」
呆れたように、ぼそりと満月はそう呟く。
難なく国内に入った紗羅那と満月は街の異常な光景を見て唖然としてしまった。
そこには薄汚れた街並みとボロボロの服を身にまとい、やせ細ったたくさんの子ども達、それとは正反対で、この地域に合った通気性の良い上質の服を着た数人の大人達が通りを歩いていた。
「確かにね……。この国には孤児が多いのかも」
さすがの紗羅那もこれは予想外の事だったらしく、普段はあまりやらないのだが、辺りをキョロキョロ見回している。
岩と砂に囲まれたこの国はどちらかというと小規模な方で、あまり周囲の他国と交流が無いような雰囲気を漂わせていた。
【活気が無い】
【犯罪が日常茶飯事に起こっていそう】
それらが一番しっくりくる言葉で、この国を表現するには最適なものだった。
そんな思いを抱きながらも、紗羅那と満月は雰囲気の暗い街を歩いて行く。
二人ともこの国の人間からすると、とても派手で目立つ格好をしているのに、誰にも気にも止められずに街中を悠然としている。
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