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───ドンッ!!
「おっと!ごめんよっ!」
突然背後から誰かが紗羅那にぶつかりその衝撃で倒れそうになるが、すかさず満月が腕を伸ばし彼女を抱き留めた。
彼女はすぐさま顔を上げ子どもを探したのだが、逃げ足が速いらしく、人混みに紛れ込んでしまい見つける事ができなかった。
紗羅那は未だに自分を抱き締める満月に向き合う。
「満月君、ありがとう」
「………」
紗羅那は満月に礼を言うが、当の満月はプイッと顔を逸らし、無言で彼女を突き放した。
紗羅那はそんな満月を見て一瞬キョトンとしたが、何かに気が付いたようで急にクスクスと笑い出す。
満月は笑われているのが嫌だったのか、ギロリと紗羅那を睨むが全く効果が無く、むしろ逆に紗羅那は一層笑いを深めるばかりだった。
「ふふっ、ごめんなさい。満月君があまりにもムキになるから、可笑しくってつい……」
それを聞いた満月はさらに顔をしかめるが、紗羅那はにこやかなままだった。
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