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桜が舞う暖かい春の日。
人々が町を歩く中、一人の青年がゆっくりと京の町を歩いていた。
青年の髪は真紅の如く真っ赤で、片目を前髪で隠していた。しかし、赤髪の青年はこの世とは思えない美しい美貌に、人々の視線は青年に向いていた。
赤髪が珍しいのだろうか? しかし、見られるのは余り好きではない。
青年はそう思いながら人々の好奇な視線を無視しながら、ある所へと向かった。
―――――――……
――――――――……
「少し訪ねたい事がある。この宿に吉田稔麿は居るか?」
青年はある宿の前で掃除している花柄の着物を着た女性に話しかける。
最初は好印象的な笑みを浮かべて振り返った女性だが、青年の言葉と容姿に目を見開き、疑いの眼差しで青年を見た。
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